「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
D.o.A.・・・・・・teacupサービス終了に想う


機能的にはちょっとばかしダサ目だけど、とても堅牢な造りは評価できたとおれは思ってる。

https://www.teacup.com/より

 「teacup掲示板」を使い始めたのに、そんな深い理由なんてなかった。

 想い起せばもぉ20年近く前、ホームページ作ろう!って思い立って近所の電気屋でHPB(当時はVer6か7だったっけ!?)買ったら、標準のBBS機能としてこちらが推奨されてた・・・・・・それだけである。有料サービスに手を出す経済的余裕はないし、色んな無料基盤をカスタマイズするスキルも無いから、まぁこれでいっか!ってなチョー軽いノリでteacupにしたのだった。当時はGMOではなくて、どっか他のWebサービスの会社が運営してたような気がする。ちゃうかったかな?

 時代はブログが出始めたくらいで、近年のSNSなんてまだ影も形もなかった。みんな「〇〇家のホームページ」なんてどぉでもエエようなタイトルで、インターネットの回線契約したらオマケでくれる容量5MBとかのディスクスペースに、お手盛りの素朴なサイトにBBSと日記なんかをくっ付けて体裁整えてた時代だ。「魔法のiランド」なんてガラケー専用のホームページ作成サービスなんてのもあったかな?・・・・・・・・・・・・まぁ、99%はゴミばっかだったが。
 そんなコトまで晒しちゃってエエんかい!?ってツッコミ入れたくなるくらい、管理人だけでなくヨメや子供の名前だの、職業・住所だのを「About」だの「Profile」なんてトコに書いてあったりもした。思えば個人情報もヘチャチャもホチョチョも関係ない、マコトに長閑な時代だったように思う。
 右に倣えもクソも、おれだってワケ分かんないから、何となくの見よう見真似でそれらしいものを構えたのが始まりだった・・・・・・サスガに諸般の事情から「About」は作らんかったけど(笑)。

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 サイトは何度かの変遷を経て今のスタイルに落ち着いた。日記はその後ブログに移行し、基盤もいくつか乗り換えた。だからどっちも原形は留めてないんだけど、掲示板だけはおれ自身があまり熱心でなかったこともあって何となくずっとそのままになり、そして気付けば時間だけが過ぎた。その点でこのBBSが最も原初の姿を留めてると思われる。変わったのは背景色や文字色くらいだろう・・・・・・って、弄れるのがそれくらいしかなかったし、タイトルにロゴのバナーを定義しても勝手に元に戻ったりしやがるし、何やねん!?一体全体?

 最初に見た時点から既に、機能的にはちょっとショボい印象があったのは事実だ。まず何よりも見た目がシンプル過ぎるっちゅうか芸がないっちゅうか、とにかく地味である。既にマルチスレッドの掲示板がいくつも登場し、もっと洗練されたデザイン・機能のサービスが出回っており、ブログだってそろそろ広まろうとする中、あんまし大したことが出来ない。要は誰かが発言して、それに対する返信がブラ下がるくらいなんだもん。過去ログの書き出しなんかも出来ない。弄ればスレ立てだのなんだのある程度凝ったコトも出来そうだったが、そもそも論でそんなやり取りにまで時間割いてるヒマもなかったんで、もっとも単純な基本スタイルを堅持したままここまで来てしまったのだった。発言は1,000までで、それを超えると溢れて古いものから消去されるらしいけど、恐ろしいコトに未だにそこに達してない。どれだけ過疎ってたかが良く分かるな(笑)。

 それでもたまにポツポツと書きこんでいただくことはあった。ほぼみなさん良い方ばかりだったと思うものの、如何せん発信に対してレス付けたらそれで終わりっちゅう、まるでもぉ掲示板っちゅうよりは駅ノートに毛の生えた程度のことしか芸が無いから、盛り上がらないこと夥しい。ラリーのないテニスとか卓球みたい。ハナシの膨らみようがないのだ・・・・・・まぁその分、不毛な論争に発展することもなかったワケだが(笑)。
 おれはそれで特に満足も不満もなかった。せいぜいこんなモンやろ、たしかにサイトの訪問数自体はそこそこあったって極私的でクセありまくりのサイトなんだし、ヘタに関わるとめんどくさくなるカテゴリーの人なんちゃうか?って警戒されるのがフツーだろ?・・・・・・と。引きも切らず色んな人が気軽に書き込むなんて、自分でもまったく想像できなかったのである。だから機能面はミニマムのままだった。実はおらぁケッコーこれで控え目な性格なのだ(笑)。

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 そんなteacupが先日、突如としてサービス終了の告知を出した。それで初めて知ったんだけど、スタートは1997年だったとのコトだ。実に四半世紀である。ドッグイヤーとも言われる栄枯盛衰の移り変わりの激しいネットの世界にしては、たいへん永く持ちこたえた方なのではなかろうか。

 使わせてもらった最初から機能的に進化させるツモリは無さそうだったし、この数年はホンマ、遅かれ早かれどっかで終わりの日が来るんだろうな〜?ってな予感はあったとは申せ、いざ無くなるとなるとやはり一抹の寂しさがあるのは事実だ。そもそもベースとなるお手盛りのホームページ自体が世の中からほぼ消え失せ、様々なやり取りがSNSに移り、ブログでさえもがジリ貧となってる現在、こうしたプリミティヴな掲示板の存在理由は最早殆ど残ってなかったのだから、どこをどう工夫しても発展どころか、生き残りの道はなかったんだろう。
 もちろん、レガシーにして放置プレイで残すってコトも考えられたんだろうが、そこはやはり無料の悲しさ、こんな体たらくでは広告収入だってマトモに得られまい。どんなに古い仕組だって・・・・・・いや、古くて却ってっちゅうコトもあるけど、オンプレであれクラウドであれそれなりにサーバ環境を維持・運営するには結構なコストが掛かってしまうのだから。
 つくづくネット関連の技術基盤はどれも一時の徒花に過ぎないと思う。今は我が世の春を謳歌するツィッターやインスタだって、そのうちまるで平家物語や蓮如の「白骨の御文」のようになるんだろう。

 ・・・・・・だから乗り換えなかった、っちゅうのも正直なトコだ。

 これまで何度か書いた通り、土台となる部分が猫の目のように変わるのをおれは好まない。所謂「枯れた」のが好きだったりする。それは別にこうしたITに限らず、例えばクルマやバイクのエンジンなんかでも、永きに亘って改良されながら使われてるようなのが好きだし(・・・・・・って実は空冷ZやEJ20以外はケッコー一代限りのが多かったりもしたが、笑)、アウトドアの道具なんかも新しいモノよりは定番で生き残ってる方を選んでしまう。
 どぉ言えばいいんだろ?早くその上で色々やりたいのに、まず土台の操作方法とか特性・クセに慣れるのが面倒なんだろうな。まぁ、保守的っちゃ保守的だとは思う。言い訳はしないでおこう。

 また、正面切って謳ってるワケぢゃなかったけど、何となく造り自体に堅牢な印象があった。スパムとかを弾く部分ではかなりチャンとあれこれ作り込まれてたし、Webメールについても出始めの頃はあんまし信用してなかったみたいで、投稿を知らせるメールの宛先に指定してもさりげなく受け付けてなかった記憶がある。それにとにかくサービスがコケることがなかったのは特筆すべきだろう。20年近くで一度もなかったんぢゃないかな?そこは野暮ったい仕様とトレードオフで、気合入れて対応してたのかも知れないと今になって思う。

 一言で言ってシブいヤツだったんっすよ。華が無いけど質実剛健、みたいな。

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 しかしながら申し訳ないけど上述の通り、おれが始めた頃にはもうどこか時代に乗り遅れて取り残されてる雰囲気が既に濃厚に漂ってたのは事実だろう。時代はそのような表面に表れにくい部分よりも、見栄えとか動作の派手さ、イージーオペレーションといった素人に取っ付きやすい方向に大きくシフトしてたんだし。だからタイトルは「D.o.A.」にしてみたのだ。

 さて、かくしてteacupのBBSサービスは8月に終了する。後継の別のBBSを入れるべきなのか、それとも別の何かに移行するか、あるいはいっそスッパリと閲覧者側から書き込める場を廃止しちゃうのか、ちょっとばかし悩ましい今日この頃だったりする。
 残りあと4ヶ月少々、もしこれ読まれたみなさんの中で、何かteacupに対して思うところ、感じるところがあったなら、それも功徳だと思ってBBSに一言二言書き残していただけると、最後まで何とも地味だったteacupへの花向けになろうかとも思う。

2022.04.04

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