「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
キャッシュレスの時代


東京の愛宕神社にはすでにあります。たしかに味気ない(笑)

https://www.j-cast.com/より

 思えば普段の生活で現金(キャッシュ)を使うことがメッキリ減ってしまってる今日この頃である。どうだろ?現金を財布から出すのって、スイカにたまに1万円チャージするんと、昼にクレジットカードもスイカも使えない店でメシ食う時くらいなのではあるまいか・・・・・・あ!あとは何ヶ月かに一度、血圧の薬を貰いに行く病院があったっけ。それと年に数回のジャンボ宝くじ購入か。ツラツラ考えてみたけど、マジでそれくらいしかない。それにスイカへのチャージにしたって、オートチャージにすると際限なく遣ってしまいそうなのが怖くて、それで敢えて現金にしてるようなモンだ。
 勿体ないことに何年か前にヨメが買ってくれた外国製の珍しい形の小銭入れも、バッグの底にほぼ仕舞われたきりになってしまってる。

 そんな調子のおれだから、かなりのクレジットカード派であることは間違いなかろう。実際、公共料金はじめありとあらゆる支払いは1枚のカードに纏めてる。いつも一括にしてて分割やリボには手を出してないから、月々の支払いは毎月20万どころか30万超えたりすることもある。今のクルマを買った時もクレジットカードで一括払いに出来ませんか?っちゅうたくらいだ・・・・・・断られたが(笑)。
 ポイントが貯まる愉しみとか言うけれど、実はあんましピンと来てない。たまに貯まったのを商品券とかに交換したりはしてるんだけど、今は全部ヨメにやってしまうので良く分からない。でもまぁ1年ではかなりの額の商品券が貰えてるんで、それなりなんだろうとは思う。
 そんなことよりもイチイチ財布を引っ張り出して渡して、お釣り貰って、ってなプロセスが今ではスッカリめんどくさくなってしまったんである。そらまぁ運悪く信販会社との通信機械の操作がおぼつかない店員に当たって、レジ前で無為に待たされてイラッとすることもあったりはするんだけど、それでもキャッシュレスの方が断然ラクで良い。

 ともあれかなりアナクロな拘りをあちこちに残したおれでさえ今やこんな感じである。現金を遣う人が世の中から確実に減ってることは間違いない。

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 現金の使用率が今でも比較的高いのは旅先くらいになってしまった・・・・・・っちゅうのも未だに地方の小さな旅館だと、クレジットに対応してないことが結構あったりするからだ。「すいませんねぇ〜、現金のみなんです」ってなセリフをこれまで何度聞いたことか。それにおれが好んで入るようなマイナーな施設や寺社仏閣等の入園料や拝観料、こりゃもうほぼ現金やしね。

 あと、これだけは未だほぼ100%現金と断言できるのが、旅先で箱を見付ければ必ずナンボか納めてる賽銭だったりする。口絵に参照したような事例もボツボツ現れ始めてはいるが、やっぱキワモノ感が強すぎるのが実態だ。

 家にはUCCのレギュラーコーヒーとかの缶にギッシリ入った1円玉や5円玉が何缶分かある。一体全体いつ頃から貯めてたのかは知らないが、母親が釣銭を丹念にそこに入れてたのだ。大半がアルミで出来たお金とは申せ、ミチミチに詰まってるんで缶を手に取るとズッシリと重い。それを旅に出る時に持ってってはちょっとづつ賽銭に上げることにしてるのだ。だいぶ減って来たんでそろそろ補充の必要が出て来てるものの、上に書いた通りで殆ど現金を遣うことがなくなってしまったから、カンタンに貯まってはくれない。
 これでは減る一方なんで、ある日、銀行に両替しに行った。いくら喜捨とはいえ今時1円玉ばかりでは何枚入れても話にならんだろうし、神様の勘気に触れるかも知れない。せめて10円くらいではなかろうか?とか考えて両替機に向かったら、なんと今はこれも有料サービスになってたりしやがる。自分の口座のある銀行でならどうやら無料で出来るみたいだが、それにしたって年間での利用上限額が決められてたりする。実に世知辛いったらありゃしない。

 紙幣はともかく、硬貨については国も金融業界も無くしたくて仕方ないみたいだ。

 実際、1円玉を作るコストは2〜3円掛かってる、って話を聞いたことがある。5円玉でも7〜8円掛かってるらしい。何とかかんとかトントンになるのは10円玉からで、あとは表示されてる金額よりは随分安くなってくみたいである。つまり、端数の硬貨は作れば作るほど赤字(?)になってくワケだ。まったくもってバカげた話とは思うけれど、1円玉や5円玉は地金だけで既に表示金額くらいが掛かってしまうんでどうにもならないんだそうな。
 考えようによってはだから、端数の硬貨の方が余程贅沢な造りと言えるのかも知れない。ドンキホーテのレジ側に行くと、小皿に入った1円玉が置いてあって、支払いの耳を揃えるために4円まではご自由にお使いくださいなんて書いてあるけど、製造コストを考えると全くとんでもない扱いだと言えるだろう。賽銭だってもう少し大事に納めるようにせねば。

 国もバカぢゃないから発行枚数は当然ながら減らしている。1円玉はピーク時には年に25億枚前後作ってたのが最近では50万枚前後と、実に1/5000である。5円玉は9億枚くらいだったのが3千万枚ちょっと、10円玉は18億枚くらいだったのが1億2千万枚くらいだから、これはもう激減ってなレベルである。消費税を外税から内税にしたのにも、実はそんな理由がちょっと影響してるらしい。
 特に1円・5円の近年の発行枚数なんて、天皇崩御によって僅か2週間少々しかなかった昭和64年よりも少ない始末だ。造幣局のスタッフも、今は硬貨作りより桜の木の手入れの方に時間を取られることが多いのではなかろうか(笑)。

 こうして国としては硬貨発行のコストは抑制に成功した。とは申せ、ぢゃぁクレジットや電子マネーがコストの掛からないお金か?っちゅうたら全然そんなことはない。実はシッカリお店側は利用料ってのを信販会社、あるいはEdyならビットウォレットっちゅう会社に取られる仕組みになってる。日本人はどうも目に見えないソフトウェアや通信に対していっかな無頓着だが、システム、とりわけ社会インフラに近いシステムほど、作るのにも維持するのにも相当なお金が掛かるのだ。これが山奥の零細旅館に未だクレジットカードが普及しない最大の理由と言えるだろう。だってただでさえ少ない儲けがさらに薄くなるんだもんな。死活問題やで。

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 閑話休題。賽銭の話に戻す。

 恐らく、国内で最後に現金が残る場所は全国に無数に存在する賽銭箱ではないかとおれは睨んでる。しかし見方を変えれば、アフリカに靴を売りに行ったセールスマンの話と同じで、そこには膨大なマーケットがあるとも言えるだろう。

 なるほど賽銭までが電子化されたら味気ないこと限りない。長淵ナントカの歌詞にあったのよりもさらに味気ない。ありゃぁまだ現金遣う分だけマシである。やっぱ硬貨を投げ入れて、鰐口叩いたり鈴振ったりして手を合わせてこそお参りした気分になれるのは紛れもない事実だ。それがカードを当てたり突っ込んだりしてでは、あまりに寒々としてる。
 それに有力な神社や寺ならともかく、零細で忘れ去られたようなトコはそんな設備引けないや、ってコトも大いにあるだろう。だからって一極集中が起きるのはどうにも我慢ならない。全国チェーンの大手量販スーパーがやらかしたようなことが賽銭の世界でまで起きちゃぁタマラン。

 このように負の側面やリスクが大いにあることは事実な一方で、メリットだっていろいろ考えられる。まず、賽銭泥棒が減る。だってそこにはもう現金がないんだもん。もちろん集金して回る手間だって省ける。以前、境内にミニ百観音霊場のあるトコ(もちろんそれぞれに小さな賽銭箱が備え付けられてるんだわ、これが)で実際に聞いたんだが、歳取ってイチイチ回収して回るのは本当に大変らしい。帳簿付けるのもラクになるだろうし、風雨に曝されてガビガビになったような硬貨を両替してもらう手間だって省ける。
 また、喩えは悪いが「大島てる」みたいな構成のサイトを拵えて、ユーザーがまず全国のマップ上から賽銭を納めたいトコを探してドネイトできる仕掛けを作る、なんてことは、こりゃもう電子マネーならではの世界だろう。俗に断簡零墨までなんて言われるけど、ネットの力で日本中の辻々にあるようなのまでを丹念にデータ化したマップ上で、「卍」とかのマーカーをクリックすると小窓が開くなりジャンプするなりして、そこの寺社の沿革等が分かるような仕組みだ。当然、経済状況が分かっても良い。ついでにポルシェやフェラーリ乗り回してチャラチャラしてる坊主や神主がいるような実態なんかも晒し上げれば宜しかろう。ほいでもってナンボ納めたいかを指定する・・・・・・ってな寸法だ。長い歴の中で積み上げられてきた日本人の「祈りの形」をシステム化しちゃうワケだ。

 規模が小さいだけでなく、近隣の過疎化で檀家や氏子が減ってしまい、例えば本堂や拝殿の修繕費用が無くて困ってる、っちゅうんなら、そこにクラウドファンディングの仕掛けを組み込んだって良いではないか。マーカーも一目で分かるデザインにすれば良かろう・・・・・・あ!それこそ大島てるの燃えてる柄がヤバそうででエエかも(笑)。もちろん貰える特典はオーセンティックに高額ならば名前入りの石柱が境内に建ててもらえるとか、提灯がぶら提げてもらえるとか、それなりなら木の名札だろう。低額なら御守シールプレゼントってトコかな?(笑)。ネーミングライツや訪問時に千社札が貼れる権利、なんちゅうのも使えるかもしれない。

 卑しい人間を増やし、さらには使途が不明瞭で、結局国全体の収支としては持ち出しばかりが増えるふるさと納税なんかよりおらぁよほど良い仕組みだと思うぞ。仕事で出入りしてるベンチャー系のシステムベンダーにやらせてみようかな?

 問題は、そのシステム開発や保守コストをどこから捻出するか?だ。それに流石にこんな取り組みで利潤を上げるのはいささか道義的に問題あるだろうし、ヘタすりゃバチ当たるかも知れない。それは困るし怖い。
 ここは超党派、っちゅうヤツで各宗派の本山やら神宮本庁、都道府県に市区町村、町内会や子供会がそれぞれの財力に応じて拠出すれば良いのではないか。上部団体がシッカリしておれば得体の知れないカルトな新興宗教が紛れ込むのを防ぐのにも有効だろう。そいでもってNPO法人みたいなのを立ち上げて運営に当たらせる・・・・・・と。もちろん、使途も厳格に監査する。私的な流用や祭りと称した飲食なんかは認めないようにしなくちゃいけない。

 ・・・・・・ああ、妄想が広がってしまった。ともあれ本格的なキャッシュレス時代が到来してるんだし、それくらい思い切った施策が講じられてもおらぁ良いと思うんだけどねぇ。

2018.12.01

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