「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
脱げない制服


有名な「マハ」シリーズ。Hニュートンの数百年前に同じようなアイデアの作品を残した着想にザブトン一枚

 今さら言うまでもなくおれはスケベである。スケベでなければこのようにして、粗雑なアタマでムリして「セクシャリティ」に一章を割くことなんてそもそもなかっただろう。でも・・・・・・と考える。

 スケベってなんだ?

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 なるほど確かに若い頃おれには、酔っ払うと「オメコォォォォ〜ッ!!」などと、関西三文字コトバを絶叫する悪い癖があったのは事実である。この絶叫がグニャグニャ・ダラダラと続くブルースギター、ドタバタと転がる音とともに録音された120分テープがそういえばかつて存在した。同級生のN原がまだ銀閣寺の参道の元土産物屋の二階に暮らしていた頃、その部屋で録音されたモノだ。何のこっちゃない、単に酔っ払ってるときにラジカセを回しただけなので、シラフでは到底聞くに堪えない代物ではあった。

  ♪ジャッカ♪ジャッカ♪ジャッカ♪ジャッカ(←N原が弾く三連ノリのギターね)
  オメコォォォォ〜ッ!!
  ♪ジャッカ♪ジャッカ♪ジャッカ♪ジャッカ
  オメコオメコオメコオメコォォォォ〜ッ!!

 ・・・・・・おれはこの夜、パンツいっちょで館内を暴れ回り、大家さんが大切にしていた壺を割り、挙句、彼のコタツの中にゲロ吐いてそのままツブれて寝込んでしまったのだった。結果、彼はここに居づらくなり、その後元田中に引っ越す遠因となった。また、かくしておれは「川俣軍司」と呼ばれるようになってしまった。言うまでもなく逮捕されたときのいでたちがパンツいっちょに白靴下とゆー異様な姿だった「深川通り魔殺人事件」の犯人のことである(詳しくは「無限回廊」http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/m.htmというページを読んでください)。
 ともあれ低劣だ。実に実に低劣だ!!オマケに下品だ。実に実に下品だ!!おれがこういう酔っ払い見たら間違いなくシバくね。N原の寛容には深く感謝しなくてはなるまい。

 しかし、これは冷静に考えてスケベなのだろうか?暴れるのは単に酒グセが悪いだけなのでスケベとは別問題だろう。「オメコォォォォ〜ッ!!」などと猥語を絶叫するのは単に「露悪趣味」なのではなかろうか?

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 なるほど確かに若い頃おれは、「オレンジ通信」がまだビニ本・裏本のガイドブックだった頃、かなりマメによく買っていた。長じては(何が長じては、だ?)、「アップル写真館」等の素人投稿系雑誌もよく買っていた・・・・・・今はアダルト系サイトの方の閲覧がもっぱらだなぁ(笑)。

 ・・・・・・とは言うものの、全くAVには興味ないし、オッサン週刊誌でインリンオブジョイトイやら杉本彩がM字開脚で写ってても何とも思わんし、女優の誰それが脱いだだのヘアヌード写真集だの、ったってニュースで読んでも別に興味もない。
 なぜなら、おれが興味があるのはアンダーグラウンドやアマチュアのパワーの部分だからである。その動向を俯瞰的に知ることにものすごく興味があったのだ。プロは脱いで当たり前、ヨガリ顔を見事に見せて、それをそれなりのカメラマンが綺麗に撮って当たり前やん!騒いでどうすんねん!?ってカンジ。

 これは果たしてスケベなのだろうか?むしろ冷静な観察者に近い。

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 なるほど確かにおれはセックスは大好きだ。ヨメに対しても、未だにちゃんと潮吹いて腰が抜けるほど可愛がってるし、これまで縁のあった女性たちにも、それぞれシッカリとサービスをさせていただいている。
 ヨメにはあまり男経験がないようで比較検証はしてもらえてないが、それなりに手練の女性達(・・・・・・たってシロウトさんですよ、念のため)からは、何度も「スゴい!と」お褒めの言葉をいただいている。
 チンコをリップサービスしてもらった挙句、コトバででもリップサービスしてもらえるとは、まことにもって面映くも光栄の限りだが、それにしたってスケベというよりは、あくなき探究心とサービス精神の賜物、といった気がする。だって、ものすごく冷静に反応を見てあれやこれや工夫してるもん。
 それはもうほとんど「楽器を弾いてる気分」に近い。「おうおう!こうしたらうまいことよく鳴るわ!」みたいな(笑)。そういやぁマンレイの写真に、ヌードの女性の背中にヴァイオリンのFホールをコラージュした有名な作品があるけれど、おれは行為中、例えばバックからしてるときなんかに「なるほどよく似てるなぁ」などと考え込んでいたりする。

 何よりおれは風俗が大嫌いだ。世の中はやれキャバクラだ、イメクラだ、ソープだ、ホテトルだ、とかますびしいけど、一向に行きたいという気が起きない。援助交際も大嫌いだ。大根足のジョシコーセーや、オトナになったツモリなだけで金だけせびるような女子中生なんてちっともチンコ突っ込みたいと思わんもん。

 これでも実際スケベなのだろうか?・・・・・・


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 前フリが長くなってしまった。これもまぁ、おれの露悪趣味と思ってご勘弁いただきたいのだが、それでも半ばオブセッションのようにおれがセクシャリティに魅かれるのは、何故だろう?・・・・・・ツラツラ考えてもあまりはかばかしい回答は出てこない。つまるところ、それが解けないスメグマ・・・・・・おっとまた露悪趣味マル出しのくだらん駄ジャレを言ってしまった。スンマヘン・・・・・・それが解けないエニグマ(謎)だからなんだろう。それも巨大な。

 何よりまず、なぜセクシャリティはここまで隠匿されねばならないのか?が、どうしてもおれには分からない。否、それどころかもっと基本的な、なぜ裸体はここまで隠匿されねばならないのか?だって、おれには正直分からない。不思議で仕方ない(セクシャリティと裸体を安直に結びつける気はないけれど、その辺までグジュグジュ書き出すとキリがないので端折ったことをお許しいただきたい)。

 ああ、今日はその辺を書こうと思ってたんだった。やっと本日のタイトルに辿り着いた(笑)。

 老若の差はあるとはいえ、基本的にオトコもオンナの差こそあれ、それぞれにはさほどの差がない。ナニナニ?腹筋割れてる/腹が出てる?スタイルがいい/悪い、チチが大きい/小さい、乳輪がデい/小さい、乳首がピンク/黒い、毛深い/薄い、尻がデカい/小さい/上がってる/垂れてる・・・・・・いろいろ差異を挙げだせばそりゃ〜キリがない。そこに優越感や劣等感が滑り込んでくるのも良く分かる。認める。

 でもその差って、学生服の差異くらいぢゃないの?学生服の差異ったって、何も長ランとか短ラン、ドカンやボンタンといった極端なものを言ってるのではない。それらはむしろタトゥーとかボディピアスみたいな身体改造系に近いものでしょ?
 ここでおれの言う差異とは、ほら、入学前に学校からカタログが斡旋されたり展示会が開かれたりするやないですか。んでもって、生地がちょっといいとか悪いとか、出入りの業者の違いによって裏地の色が違うとか、そんなことである。でも所詮は学生服。ナンボこだわったって大枠の部分は何も変わらん。

 つまり裸体は「脱げない最後の制服」なのだ。いわば最後の男女の「記号」であるともいえる(TGの問題を持ち出すとややこしくなるので、ここでは割愛する)。またその記号が「猥褻の記号」でないことも論を待たない。百歩譲って「猥褻の記号」として機能したとしても、記号そのものはエロティックでもなんでもない。
 ・・・・・・ったって全部同じに見えるというわけではない。学生服着ててもあいつは誰、と遠目からでも識別できるように、異なって見える。それにやはり均整の取れたスタイルは綺麗だなぁと思うし、Hベルメールの人形に空気注入したようなデブにはいささか眉を顰めたりもするので、まぁ程度モンだとは思う。が、それでもまぁ通常の範疇であれば、ご当人がコンプレックスを抱く程度の差異なんて一体どうしたというのだ?どぉでもええやん、って思う。

 これまで散々語られてきている通り、ヘアヌード論議や官憲の猥褻基準のくだらなさは、かかる記号におれたちがパブロフの犬のようにステロタイプに反応すると思っていることにあるのだろう。だからこそ、性器はボカさにゃあかんがアヌスはOK!な〜んてよく分からないアホな切り分けもまかり通っているわけだ。アナルマニアラッキー♪なんてね(笑)。
 浅薄な哲学用語振り回したってお里が知れるだけなので止めとくけれど、取り敢えず何かの事柄が意味を帯びるのは、表現者の意図によるところもあるだろうが、受け手の側の意識・・・・・・もっと言えば意志の問題だろう。それはレディメイドの判じ物の傑作、Mデュシャンの「泉」を見れば良く分かる。

 話がちょっとそれて来てしまったが、さて、こうして考えていくと、原因の全てではないにせよ、裸体の隠匿の底にはおれ達の卑小で偏狭なコンプレックスが大きく横たわっているんぢゃないの?って思えてくる。
 何だか大上段に振りかぶった文章になってしまったが、こんなむつかしいことを言わなくとも、フツーの女の子を口説き落として脱がしてみたらいい。まず100%間違いなく恥ずかしがる。裸体は恥ずかしいものだと小さい頃から叩き込まれ、所与の価値観が形成されている上に、過剰か欠損か、位置やバランスの適正かは知らないがコンプレックスがあって、それが実態以上に恥ずかしいからだ。

 でも、制服をひどく恥ずかしがるって思うと、これはとても奇妙だし、なんだか神経症的な線の細さを感じません?何かもう箸がこけても大騒ぎして無常を感じてる、腑抜けの平安貴族のお公家さんみたいなひ弱さを感じません?

 たぶん、そのイケてなさにおれは何がしかの反感を抱いてるんだろう。「アンタ等のタブーなんてツマランこっちゃおまへんか」みたいな。露悪趣味の根っこも恐らくはその辺にある。そんな性向は思えば物心ついたときからあったので、裸体=脱げない制服、ということも感覚的にかなり早い時期に理解していた。だから裸体を恥ずかしがる気持も、おれはもうずいぶん以前に失せてしまっていたりする。

 かといって「***イズム」はポリティカルな腐臭がして気に食わないし、ちょっとねじれてて分かりにくいが、結局おれは裸体が至上のものとまでは思ってないので、ヌーディズムなんて声高に叫ぶ気、さらさらない。けれど、裸体をそれほどむやみに恥ずかしい恥ずかしいちゅーのもまぁ、いかがなものか?ということだ。
 そんなユルユルの気持で、おれはだから温泉ギャラリーをまとめたりしてる。そこには特段の扇情的な意図も、無理強いした自然志向もない。

 そんなこんなでハダカをヌード/ネイキッド/ポルノグラフィーのどれにするかは、実はアナタが決めることなのだ。

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 正直、今後どんなテキストを書くのか自分でもサッパリ予想が付かない。どだい続くのかどうかも不安である。今言えることはただ一つだけだろう。

    「期待せんといてな!!」

 あいやややややや、情けない・・・・・・


判じ物芸術の傑作「泉」。ただのハッタリ、とも言う。


アホみたいなコギャルの典型例
・・・・・・といってもこれはそういう扮装の作品だそうです


最近すっかり見かけなくなった学ラン。
2005.01.29
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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