連敗の記 |

在りし日の東池袋「大勝軒」の勇姿!?
|
http://p962c.hp.infoseek.co.jp/go_menya/より |
東京で1・2の行列の長さを誇っていたもりそば(つけ麺)の名店・東池袋「大勝軒」が、この3月末で閉店した。なんでも周囲一体が再開発されて立ち退くことになったんだそうな。また一つ、都内の古い景色が姿を消すワケだ。
閉店が告知されて以来、マスコミがこぞって取り上げたこともあり、ただでさえ長かった行列はさらに伸び、朝の開店時ですでに2時間待ちなんちゅう、もはや尋常でない状況となっていたそうな。
東京に越してきて間もない頃、同僚に連れられてここには一度行っている。当時でも45分くらい並んだような記憶がある。待ちきれない客の中にはビール頼んで、並びながらメンマとチャーシューを合えた付き出しをアテに飲んでる者もいた。また、近所の人がテイクアウトで持って帰る姿も見られたように思う。
ここで関東以外では馴染みの薄い「つけ麺」、っちゅう不思議なラーメンについて、知らない人のために説明しておこう。
茹でた麺を水で晒して締めたものを鉢に盛り、通常のラーメンよりも濃い目に希釈し、砂糖と酢でアクセントをつけたスープにつけて食すのである。つまり冷たい麺を熱いスープにつけて食べるワケだ。ちなみに麺を熱いままで欲しいときは最初に「あつもり」と言えば良い。
なお、スープの中にはチャーシュー・メンマ・ネギ・ナルト・海苔といった普通のラーメンの具材に加えて、どぉゆう理由によるものか別途細かく賽の目に刻んだチャーシューが入れられてることが多い。
おそらくは関東の蕎麦屋では比較的ポピュラーな「鴨せいろ」等をヒントに生み出されたと思われるこのラーメン、最初は冷たい麺と熱いスープって組み合わせにちょっと違和感があるが、慣れるとかなりハマる。
ともあれその嚆矢がこの東池袋「大勝軒」なんだそうな。そしておれはここで敗退した。
いや、連れてってくれた同僚がどれだけ凄まじい量か知ってたくせに、イタズラ心で何も知らないおれに大盛もりそばの全部入りを勧めやがったのである。それも「あつもり」で。
座ってしばらくするとスープに続いて、洗面器のような巨大な鉢に湯気を上げてテンコ盛の麺が運ばれてきた。ここの麺の特徴は、まるでスーパーで売られてる袋入りの焼きソバの蒸し麺のように黄色くて太く、ムニュムニュした食感なのだが、これをあつもりにするとどうなるか!?
・・・・・・どんどん延びていくもんだから、食っても食っても減らないのだ。
これはホンマもう地獄でしたね〜。一口取る、スープにつける、見ると元の量に戻ってる、っちゅうラーメンループ!オマケに具は全部入りなモンだから、厚みが1cmくらいあるチャーシューが5枚入ってたりしてその量もさることながら、邪魔になってすごくスープにつけづらい。
それでもおれは頑張った。死に物狂いで努力させていただきました。そのうちナミダ目になってきました。スープの味はどんどん薄まって行き、最後は味も素っ気もないただの茹で麺だけを食ってる気分だったけど、それでも完食目指して詰め込みました。
しかし、最後、どうしても普通のラーメン一玉分くらいがどうしても喉を通らなかったのだった。同僚は笑っていた。失礼なやっちゃ。
その後、赤羽にある「二郎よしぐま」(ここは数ある二郎の中でも異常に量が多いことで有名)の大ダブルも制覇したし、驚異の野田「やよい食堂」も辛勝した。その他の爆食も連勝中であることはここまで書いたとおりだ。やはり残すのは良くない。
したがって、この東池袋「大勝軒」での敗退は、大袈裟に言えばおれの心の中に一種のしこりとなって残ったのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
先日、所用があって神奈川にまで出かけた。ちょうど行くのが昼過ぎなので現地で何か美味いメシ屋はなかろうか?とネットを探すと駅の近くに「大勝軒」があるではないか。東池袋が再挑戦叶わぬまま無くなってしまってたこともあり、おれは立ち寄ってみることにした。
店はすぐ分かった。自動販売機での食券販売方式なので、まずチケットを買わなくちゃならない。店内は時間的にお昼だったこともあって満員。見渡すと、テンコ盛のつけ麺を食ってる連中が目立つ。しかし、多いとはいえ余裕で完食できそうな量に見える。おれは迷わず「特製もりそば・大」のボタンを押した。具材全部入り+辛口+白髪ネギって一番豪勢なメニューである。
カウンターにチケットを置き、本を読みながら待つことしばし。そうして出された量の凄まじさにおれは驚愕した。さっき見渡したときとは全然違うやおまへんか!
みんなが食ってたのは「中」だったのだ。
格闘10数分、またもやおれは屈辱に打ちのめされながら敗退したのだった。ずいぶん頑張ったのだけれど、あと半玉分くらいが食えなかったのである。
スパッと完食し、颯爽と一言「ごちそうさん」と立ち去るツモリだったのに、立ち上がる際、おれは悄然と小声で「すんません」と言うしかなかった。
そんなことはしょっちゅうなのだろう、店主は笑っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうして大勝軒だけ?って気持ちは正直、ある。他のテンコ盛り系は片付けることができるのに、どうしてもここの一統だけは最後に辿り着けない。実に悔しい。
一つの理由として考えられるのが、やはりつけ麺ゆえの欠点である「食べていくうちにスープが薄まっていく」ことだ。味のないものを食べるほどツラいことはない。
もう一つの理由として考えられるのが、標準の茹で方だと今一歩どころかまったくコシに欠ける太麺の食感だろう。おれは家系以外は硬めの麺が好きなのだ。
この二点さえクリアすれば成功しそうな気がする。よし!ならば、だ。次は麺硬め+途中でかえしをプラス、これで行ってみよう!
・・・・・・いい加減、自分の歳考えろ!ってね(笑)。 |

つきみ野「大勝軒」のもりそば・中
|
http://tokyo.gourmet.livedoor.com/より |
2006.04.30 |
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved |
 |