「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
静かになっておらぁ嬉しい・・・・・・爆買い鎮静化に思う


ホント、邪魔以外の何物でもない!

https://wowma.jp/より

 一昨年の初夏の夕方くらいだったかな?そのちょっと前の旅行でカメラを落っことしたおらぁ、ドキドキしながら修理に持ち込んだ銀座のニコンサロンへ引き取りに向かってたのだった。だって、ボディ側のバヨネットマウントまでやられてたらハンパなく修理費掛かるんだモンな〜。出す時はもう見積もりも何も、とにかく直してください!センセ!みたいな感じで預けたのだったが、いざ引き取りとなると急に修理費が怖くなって来たのである。

 そうして地下鉄から銀座通りに出たおれは仰天した。一体全体何台いるのか、通りの南側にズラァ〜ッと観光バスが並んで停まっており、中から出て来た中国人観光客がギッシリとひしめいているのである。オマケに声が異様にデカい。ワヤワヤワヤワヤとにかくうるさいんだわ、コイツ等。さらには路上の禁煙表示も添乗員の制止もなんのその、バコバコ煙草吸いまりのゴミ捨てまくりでホント、何でこんな下等な連中の暮らす国が国連の常任理事国の一角を占めてるんだ!?って言いたくなるほどヒドい。おれは決して差別主義者ではないんだけれど、こんなんがワガ物顔でたむろってんの見て、レイシストになろうかって思ったくらいだ。

 そりゃぁまぁ、70年代くらいまで日本だって田舎者の農協団体のオヤヂ達が欧米に団体旅行に出掛けてっては、同じように見苦しい姿を晒してたのはよぉ〜く分かってるけど、もう50年近く経ってるんやで!ちったぁ学習しろよ!ってやっぱし思うよね。
 ちなみにニコンサロンって銀座六丁目のライオンビアホールの裏手にある。だからこの連中の間を縫ってかなくちゃならんワケだけど、おれには到底耐えられなかった。だからちょっと行ったところで一筋南の裏道に逃げることにしたのだが、それでもやっぱし中国人だらけだ。そいでもってやっぱしマナーがなってない。おれはウンザリしながら暗くなりかけた道を急いだ。

 結局、AF−S F4/24−120mmの鏡筒がイカれちゃってるだけってコトで、修理費は1万ナンボで済んだのだった。助かった。

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 爆買いブームは今や完全に鎮静化した。国としては反日キャンペーン張りながら、自国民がゾロゾロ出かけてくのは国の沽券に係わると習近平は思ったのか、関税料率やら外貨持ち出しに規制が掛かったらしい。当然ながら醜悪極まりない中国人団体旅行客も今ではスッカリ姿を消した。実はこれ書いてる今日も用事があって銀座に出掛けたんだけど、そんなもう、鬱陶しいほどに中国人がブワーッと溢れ返る状況はスッカリ無くなっていた・・・・・・って、そもそも論でいつまでも炊飯器や魔法瓶、紙オムツが飛ぶように売れると思ってる方がどうにかしちゃってるとおれは思う。
 ところがブームに舞い上がってアテにして、免税フロアの拡張とかヌかしてた連中はすっかりアワ食っちゃって大慌てなのが実態である。伊勢丹/三越やLAOX(・・・・・・あれ?ここ、中国資本が買収したんぢゃなかったっけ?)なんてもう大赤字でこの世の終わりみたいなコト言ってる。バカぢゃなかろうかとおれは思う。

 気持ちは分かる。バブルが崩壊して早くも四半世紀近く経ったのに消費は依然低迷したままだ。その間も絶え間なく交通インフラの整備は進み、田舎から街中に出るのは随分早くかつラクになった。景気は悪いのに円高で(最近円安でどうこう言うバカが多いが、かつては1ドル360円だったんだぜ)、外国に出掛けて買物するヤツも多い。さらに昔はただの地味な駅や空港のコンコースまでもが商業施設となり、オマケにアマゾンやら楽天やらEコマースなんてモンも進化したもんだから、百貨店は昔のように特権的・独占的な商売が出来なくなってる。
 例えば分かりやすくロレックスやオメガなんかで言うと、昔は銀座の天賞堂や日新堂、それがムリなら百貨店に行って買うものって相場が決まってた。だって、そもそもそうそうどこでも売ってないんだもん。あまつさえ値付けは暴力的なまでに高かった。

 それが今はどうだ!?先日、おれの大嫌いなイオンモールに行ったらプライスタグ5,500,000円也の下品なダイヤまみれのインデックスのロレックスが置いてあるではないか。スピマスやシーマスなんてもぉドンキホーテでも買えてしまう。そら香港ルートか何かの並行輸入品だよ。保証もマトモに付かないよ。でも買えちゃうのだ。定価正札掛け値なしの百貨店より遥かに安い値段で。
 あらゆるブランドがそんな状態なのだ。アウトレットにだっていくらでもブランド品が格安で並ぶ御時勢だ。未だにこのマーケットに手を染めてないのはルイヴィトン・カルティエ・エルメスあたりくらいぢゃないのかな?

 そんなんで何年も掛けて相対的に百貨店の希少性もステイタスもレーゾンデートルも喪われてきたのだ。唯一残ってたのは何かと言えば、サムシングネスの世界である「優雅に買い物ができる」、ただこの一点のみである。もちろんこの点についても。OiOiの丸井なんてバブルの前くらいから自ら放棄しようとしてたんだけどね。あの頃のマルイのバーゲンって、前夜から徹夜で若者が並んだりして、今で言えば閉店セール並みの浅ましさでホント凄まじかったで。
 さらには郊外への展開なんかもそりゃぁヒドいモンだった。当時おれは関西在住だったんだけど、八尾に西武が出来るってニュース見た時には引っくり返りそうになった。あの八尾やで、八尾!ナンボ西武がB級百貨店とはいえ、ナンボなんでも八尾はねぇだろ!?って思ったもん。先日、西武のつくば店閉店のニュースが報じられてたけど、全く一緒ですわ。そもそもつくばみたいなトコに百貨店作るなってハナシやんか。調べてみると八尾も閉店らしい。いいことだ。
 結局、百貨店ってこの30年くらいの間、営々と何をしてたかっちゅうと、売上拡大のためだけにひたすら百貨店としてはやっちゃいけない真逆の「敷居を下げる」ことにばかり腐心して来た。そしたら「どこで買っても一緒」っちゅう実に情けない状態が到来したのである。そこに大量のワヤワヤとけたたましい中国人団体客だ。目先の利益のためにコイツ等を熱烈歓迎で呼び込もうとした。

 そうして最後に残ってた上筋の客も愛想を尽かして去って行ってしまった。ぶっちゃけもう百貨店はムリだろうなぁ〜、って思う。だってプレミアム感っちゅうかドキドキ感もワクワク感も何にも無くなっちゃったんだもん。

 地方で百貨店の閉店が続いているというニュースをしばしば見掛けるようになった。つい最近も仙台駅前で地元百貨店が破産したって報じられたばかりだ。その前は旭川で、さらにその前が花巻だったっけ?大食堂がどうとか。
 しかしながら良く調べてみると、閉店ガラガラなのは三大都市圏のすぐ足許にまでひたひたと迫ってるのである。そごう柏、三越千葉、パルコ千葉、西武春日部、銀座プランタン、三越多摩センター、さらに爆買いブーム前に力尽きたのまで順不同で適当に拾って列挙すると、西武有楽町、大和新潟、四条河原町阪急、松坂屋名古屋駅、神戸阪急、大丸新長田、さいか屋川崎、和歌山タカシマヤ、高松天満屋、そごう八王子、西武沼津・・・・・・etcetc

 一目で死屍累々であることがお分かりだろう。何のこっちゃない、中国人の爆買いなんて命脈の尽きかけてた百貨店をホンの数年延命してくれただけだったのだ。中国風に言えば黄梁一炊の夢ってヤツだ。そんなんに浅ましくブラ下がろうとした方が悪いのである。

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 百貨店の業績なんかよりもおれはとにかく、中国人団体客が姿を消し、爆買いが沈静化したことの方がとにかく嬉しいし、いささか楽天的ではあるけれど長い目で見れば絶対に我が国の経済にもプラスに働くだろうって思ってる。もちろんそれは、爆買いのような狂騒状態の中で前年2ケタとか3ケタとか暴力的に売り上げが立つような性質のものではないだろうが。
 観光立国なんて安倍は言ってる。セリフだけ逐語的に読むなら大いにエエことだと思う。ドンドンやりゃぁ良い。でもさ、世界各国から観光客が来て、ミャーミャー五月蠅い中国人団体客が溢れ返ってたら他の連中はどう思う?そりゃウンザリするに決まってるよね。少なくともおれはウンザリだ。海外旅行なんて、特権的・選良的なノリあってこそなのだ。行った先に大阪のオバハンも腰抜かすような悪趣味な服着て、これまた悪趣味なサングラス掛け、ガラガラとキャリーバッグ引っ張った団体の中国人溢れてたら興醒めも甚だしいではないか。

 おそらく爆買いとは、近代日本の産業構造と経済発展、そしてその矛盾の拡大と破綻プロセスの戯画的なまでの早回し映像だったのではないか?って気がしてる。反省すべきことだ。

 いい加減おれたちは、「良いモノを大量に作って安く売れば幸せになれる」って19世紀的な価値観から離れるべきなのだ。そ、それは産業革命から全く進歩してないのである。「モノからコト」とかゆうてんなら、掛け声だけぢゃなくそれを本気で実践すべきなのだ。コトにもっともっと対価を求めれば良いのだ。
 実を言うとホントはそこから付加価値・・・・・・つまり上の方で述べたサムシングネスについての議論も始まるのである。日本のマスプロダクトは付加価値とは何ぞや?を全く考えないまま「次は高単価・高付加価値商品だ〜!」なんて平気でヌかしてるけど、ぢゃぁ付加価値って何なんだよ?と訊かれてキチンと自分の思想に答えられるだけの経営者がどれだけいるのかひじょうに疑わしいし、それはとても恥ずかしい。

 とまれ、あれほど猖獗を極めた中国人団体客もほとんど姿を消した。上に書いた通り、今日の昼に用事があって銀座に出掛けたんだけど、賑やかとは申せかつての落ち着きを取り戻している。そぉいやちょっと前にピエール・モリニエ観に行った時も、殆ど団体客の姿はなかった。実に喜ばしいことだ。エエこっちゃで。

 折角静かになったのだから、みんなちょっとは落ち着いてこれからの商売はどうあるべきかを考えるべきだろう。それでさしたるアイデアも出ず、従来通りの大量販売しか思い付かないような業態は、ハッキリ言ってとっととツブれちまえば良いのである。

2017.03.16

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